第一次世界大戦末期を舞台にサン・ジョヴァンニ・ロトンドにやってきたピオ神父を描く。彼は、人々の悩みに耳を傾け、救済しようとする。聖職者として全うしようとするのだが、戦争や政治の騒乱に巻き込まれていき大虐殺が発生していく。今まで、信仰を失ったような都市像を描いてきたアベル・フェラーラ。そういった地の中心に教会を置き、外部との接続で困惑する神父像を炙り出す。アベル・フェラーラなりのアプローチで『田舎司祭の日記』をやろうとしていることが分かる。これだけ聞くと面白そうなのだがら、『Zeros and Ones』同様、予算不足か撮影における障壁が多かったのか、全体的に画が汚く、スローモーションや寄りのショットで誤魔化しているような部分が目立った。折角の大虐殺シーンも、珍妙な角度から撮っているのだが、あまりハマっていないような気がした。教会が信仰外の政治や戦争と絡んだ時に、敬虔な者はどのように感じるのか。このテーマはまた別の機会で掘り下げてほしいなと感じた。