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リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシングのぴーのレビュー・感想・評価

3.9
恥ずかしながら「Tutti Fruttiの人」ぐらいの認識しかなかったので、音楽史として頭の中でひとまず整理できてよかった。

“リチャード以後”のビッグアーティスト達のモンタージュにグッとくる。
錚々たる面々の中でもラストを飾る、いま現在最大のロックスターが、クィアファッションを前面に押し出すハリースタイルズというのは象徴的。

ロックンロールやめたりゴスペルやってみたりまた始めたり、リチャードの大きな方向転換を案外深い説明はなくポンポン進んでいってしまうので、本人の考えてることも製作の意図もよくわからんなあと思いながら観てたけど…
最後のAMA授賞式の涙とスピーチで、彼のロックンロールに対する愛憎入り混じった感情が少しだけ見えた気がした。
あそこでわからせる演出が意図的だったとしたらすごい。

自分が抱える矛盾や葛藤をそのまま社会に音楽というアートフォーム、もしくは自分自身として剥き出しのまま表現すること。
思わず「言ってることが違う!」と言いたくもなるけど、人間そんなに何から何まで割り切れないのがリアルだよねと。
その揺らぎこそが誠実さでありクィアネスであるという、なんだか大風呂敷を広げてしまったけど、そんなことを思い知らされた感じがしました。
また少しだけLoveを心に持つことができました。
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