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リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシングのhidehiのレビュー・感想・評価

4.1
2024/4/16 鑑賞。
もともと私たちの世代でも、リトル・リチャードなんていう人はすでに歴史の人で、ポール等のカバーでしか聞いたことがなく、ましてや動いている姿なんて見たこともなかったわけだが、いま聞いてみてももう完成されたロックンロールなのがすごい。チャック・ベリーなんかは、ビートルズであれストーンズであれジョニー・ウィンターであれ、カバーされたものの原曲を聞くと、やはり"原曲"という感があるのだが、リトル・リチャードに関しては"コピー"という感じ。「のっぽのサリー」だろうが「トゥッテイ・フルッティ」だろうが「ルシール」だろうが、アレンジも唱法も変えようがないくらい最初から完成されている。もう別格の「ロックンロールの元祖」っぷり。逆に近すぎるが故に評価されなかったのかもしれない。
動いている姿をほぼ初めて見て、こんなにあやしい(怪しい、でも妖しい、でもある)人だったのね、と感じ入った。僕らの世代で言うと、プリンスが出てきた時の印象に近そう。実際、最後のクロージング近くの、現代のロックへの影響を振り返るシークエンスでやたらプリンスが出てくるのはそういう受け止め方が一定数ある、ということなんだろうな。
「悪魔の音楽(ロックンロール)」をやってみたり、神への賛美に身を挺して牧師になってみたり、本人の中では別に変節も一貫もないんだろう。とにかくエネルギーがすごい。タイトルの「アイ・アム・エブリシング」という意味がよくわかる。
作りとしては、HBOの製作らしく、アメリカのケーブルテレビで時々やっているドキュメンタリーの王道的なもの。生涯を追うエピソードと、影響を受けた有名人のコメント、時代背景についての識者の解説など、バランスよくできている。
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