Jun潤

Winter boyのJun潤のレビュー・感想・評価

Winter boy(2022年製作の映画)
3.6
2023.12.26

予告を見て気になった作品。

同性愛者の少年・リュカは過去を回想する。
それは、突然の事故で最愛の父を喪い、兄・カンタンが暮らすパリで心の傷を癒す日々の中で出会った、カンタンの親友・リリオと、その出会いから急速に変化していく自身の感情のこと。
そして過去に対する想いを出し切ったリュカは、思いもよらぬ行動をとり、彼の心情はより深い沼の底へと落ちていくー。

あぁ、フランス映画観てるなって感じの作品でした。
ストーリー自体は映画としては平凡そのものなのに、リュカの人生や心情に起きた変化にフィーチャーするとなんとドラマチックなことか。
その描き方も、セリフやモノローグで心情を語ったり、劇伴などで飾られているにも関わらず、良い意味で何も感じない、れっきとした映画なのに映画っぽくなく一人の少年の人生に深く深く寄り添った作品でした。

親しい人の死という誰もが経験した、これから経験するであろうものと、性的マイノリティーという身近ではないものが共存、そして強く反発し合い深く関わり合いながら、リュカの人生を劇的に変化させ、その変化が周囲の人々も巻き込んでいく。
ドラマチックな展開は現実でなかなか起きないものですが、要素が変われば自分の人生にも、リュカと同じような人生や心情に対する変化が起きるのかもしれないと、期待と不安を感じさせてくれるような作品。
Jun潤

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