ノラネコの呑んで観るシネマ

Winter boyのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

Winter boy(2022年製作の映画)
4.3
ある年の冬、突然の交通事故で父を失った17歳の同性愛者の少年リュカの物語。
端的に言えば、初めての喪失の衝撃に戸惑い、パリに住む芸術家の兄について行って色々はっちゃけてみたものの逆効果で、一度は完全に壊れるも、やがて愛によって人生を取り戻す話だ。
まだ何者でもないティーンの主人公は、生前はただ空気のようにそこにいた父が、自分にとってどんな存在だったかを、失って初めて知るのである。
人生の堅実な要石が消え、彼はいろんな方法で足掻くのだが、それは羅針盤が無いのに嵐の海をゆく様なもの。
クリストフ・オノレ監督の半自伝的な物語だそうだが、キャストが皆素晴らしい。
特にリュカ役ポール・キルシェは、言語化できない、どこにも持っていきようのない未知の感情に溺れそうになる若者を味わい深く演じた。
未成熟な少年が、愛のなんたるかを知る瑞々しい物語。
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