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Winter boyのSushiのレビュー・感想・評価

Winter boy(2022年製作の映画)
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久しぶりに単館に来て、いつも通りギリギリに着いて、席に座った時に、帰ってきたなと思って始まる前からポロポロ泣いた。

ここ最近ずっと寝たきりで、なんにもできなかったけど、これまでも、どんなときでも、映画館って絶対に自分を否定しなかったな、と思った。

学校サボって観に来た時も、LINEを1ヶ月開けずに寝たきりでも、仕事に行けずベッドの上でただ息をしているだけでも、映画館って絶対にいつも映画を上映してて、絶対に自分を否定しなくて、「いま自分は正しいことをしている」と思えた。


自分はこれまでの喪失体験を全部うやむやにして、ここまで来てしまって、そのせいで今こうしてどうしようもなくなっているけど、大丈夫だなと思った。

彼と同じように、自分も知らない人とセックスしたり、叫んだり、してきたけど、振り切れていない。でも、それでいいし、それでよかったんだな、と思った。

パートナーとのNetflixも、きらびやかなディズニープリンセスも、どれも良いけど、1人で小さな映画館でスクリーンだけ観てるこの時間は絶対に自分を裏切らないな。絶対に味方でいてくれる。


後ろからドンドンという衝撃があったので、なにごと、と思ってちょっと後ろを振り返ったら、すごく眩しい投影機の光が目に入って、こんなにきれいなんだ、と思った。初めて見た。後ろには誰もいなかったっていうホラーなんですけど、綺麗だったな。


パートナーは友人とディナーに行き、自分は映画館で映画に浸る。帰って、ディナーがどうだったかを彼に聞いて、そして映画がどんなによかったかを彼に話す。彼が「君が楽しそうで良かった」とニコニコしている。それぞれが、それぞれの時間を楽しむ。素晴らしいことだな。

自分は1人で映画を観ることができるし、誰かと一緒にいることもできるんだな。

(2023.12.9:25/武蔵野館)
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