クロフネ

恋の大冒険のクロフネのレビュー・感想・評価

恋の大冒険(1970年製作の映画)
3.0
鑑賞後1週間がたってから、なぜか愛着が募ってきたという不思議な映画。鑑賞中は、悪ふざけが空回りしているようで笑うにも笑えない気分だったのですが、子供だましにも等しい(失礼)昭和のコメディーのノリが、いまとなってはなぜだか愛しい。これがウワサに聞く「ナンセンスギャグ」ってやつなのでしょうか。
冒頭シークエンスで植草甚一のいかにも素人然とした演技が拝めるのをはじめ、藤村有弘のデタラメ外国語も久しぶりに堪能。何十年ぶりかなあ。
スラップスティックなミュージカルということで、いずみたくの書いた曲がとにかく耳に残ります。なかでもマカレナ風メロディーをしつこいくらいに繰り返す催眠ミュージックは、トラウマ級な印象を残してくれました。
ラスト、追いすがるカバのザブ吉を残して旅立つ今陽子の姿が、「祭りの準備」の江藤潤と重なりました。ザブ吉はさしずめ原田芳雄といったところでしょうか。東京を目指す「祭り」とは、目的地はまったく逆ですけれど。
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