ノラネコの呑んで観るシネマ

ドラキュラ/デメテル号最期の航海のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.0
ブラム・ストーカーの原作から、第七章だけを抽出して映画化した作品。
ブルガリアの港からロンドンへ、知らずにドラキュラ入りの木箱を運ぶことになった、帆船デメテル号の船員たちの恐怖を描く、本格的なゴシックホラーだ。
この映画のドラキュラは、ノスフェラトウ系のデザインではあるものの、思いっきりモンスターチック。
どこにも逃げ場のない船上で、影の様に船員に近付き捕食するドラキュラとの戦いは、いわば19世紀版「エイリアン」だ。
監督がアンドレ・ウーブレダルなので、基本ムーディーだけど生真面目でプロットは一本道。
色々脚色で工夫しモダンなエンターテイメントに仕上げようとはしてるんだけど、良くも悪くもクラッシックな文芸作品みたいな仕上りになっている。
個人的には結構好きな作品。
だけど、夜な夜な美女の血を吸うダンディな「吸血鬼ドラキュラ」というキャラクターのイメージからは、全く違ったモンスターなので、原題と同じく邦題からドラキュラ無くした方が良かったのでは。