脳みそ映画記録

ドラキュラ/デメテル号最期の航海の脳みそ映画記録のレビュー・感想・評価

3.5
 ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』の一節のデメテル号航海日誌の実写化です。
 ドラキュラの実写化といえば、かなりありますが、デメテル号について描いているものはあまりなく、あっても主題ではない冒頭のシーンなどで、実質デメテル号をメインで描くのは本作が初めてといっていいでしょう。
 ドラキュラのイメージはおそらくユニバーサルの『魔人ドラキュラ』ベラ・ルゴシのものやハマーフィルムの『吸血鬼ドラキュラ』クリストファーリーのものがもっとも有名でそのイメージを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
 本作のドラキュラ像はそれらのドラキュラというより『吸血鬼ノスフェラトゥ』のものがもっとも近いです。死人のように白い肌、丸い頭に尖った耳、長身で長い手足!ルゴシ以前の作品で個人的にはこのノスフェラトゥは大好きなのです。ですのでユニバーサルピクチャーズがノスフェラトゥフォルムのドラキュラを描くというのはものすごく胸アツ案件なんですよ。

 ユニバーサル映画のクラシックホラーってすごく好きなので、『ザ・マミー呪われた砂漠の王女』が大コケしてとん挫したダークユニバースは本当に残念でした。近年はブラムハウスが透明人間を現代的にリブートしていましたが、ホラーマニアにしか話題にならず…。
 この『ドラキュラ/デメテル号最後の航海』がヒットしてクラシックホラーの再起を期待していたのですが、上映館が少なすぎる!!!!
 いや、ユニバーサルの大作ですよ!ドラキュラですよ!知らん奴おらんやろ!日本のアニメって吸血鬼好きじゃん!USJにもユニモンいるじゃん!なんでこんな少ないのよ。公開2日目なのに一番小さいスクリーンでしたよ!
 1930年代や50年代あたりの怪奇映画ブームは現代にはもうウケないのでしょうか…。
 
 原作の『吸血鬼ドラキュラ』のデメテル号は一節に過ぎないため、実写映画化するにあたり大きく肉付けする必要がありました。登場人物も追加しています。主人公のは映画オリジナルキャラクターだそうです。
 夜になるごと一人ずつドラキュラの餌食になっていき、怪物が乗船していることを知らない船員たちの中で疑心暗鬼が芽生える魅力的なストーリーになっています。家畜男女子供に容赦なく捕食するシーンはかなり迫力があります。
 高度な運動能力の知性を併せ持った怪物が逃げ場のない船内に潜み乗組員を次々に殺害していく映画といえば、連想するものはリドリー・スコットの『エイリアン』です。このドラキュラ映画の構造は『エイリアン』の要素で構成されており、モンスターホラーとしては間違いなく一定の面白さは担保されているといえます。