アキヒロ

ドラキュラ/デメテル号最期の航海のアキヒロのレビュー・感想・評価

3.0
原作読んでいたので、
「デメテル号」の章が映画化されて嬉しかったです^^
ただちょっと冗長に感じました。

「ドラキュラ」は「竜(ドラゴン)の息子」という意味なので、だから積荷にドラゴンの紋章が付いていて、「不吉」だと言われていたわけですね。
古代では悪魔とドラゴンは、ほぼ同存在として扱われます。

ブラム・ストーカーの原作ではたった数十ページしかなく、
ロンドンに寄港したデメテル号には、船長の死体が操舵に括り付けられており、何があったのかということを日誌を通して知る…という内容になっています。(だからクレメンスが縄をほどいた時、え……?となった)
つまり、映画化する際にものすご〜く引き伸ばされてるわけですね。

裏事情としては、ルーマニアのドラキュラ城に軟禁状態にあったジョナサン・ハーカーが抜け出しロンドンに戻ってきたところ、
城を抜け出したドラキュラがデメテル号の積荷に乗ってルーマニアからジョナサンを追って移動してくる、というもの。

原作のドラキュラは我々の思うドラキュラ像以上に脆弱で、
街から街に移動する際には「積荷(棺桶)に入り、誰かに運んでもらわなければならない」という制約があります。
しかも、ドラキュラ城には従者は一人もおらず、馬車の運転から料理の配膳、全てをドラキュラ本人がこなすという重労働っぷりで、ややマヌケな感じがあります。

ルーマニアを出てからは、血を吸った従者レンフィールドを使役して、なんとか生きているのですが、そんな脆弱な彼が"最強"となる状況が「侵入に成功した場所と夜中」です。
そうなれば彼の独壇場。
密室の船と真夜中はまさに人を襲い、血を吸うのには打ってつけ。
ここでのドラキュラは、まさにリドリー・スコットの『エイリアン』を彷彿とさせますね。

ドラキュラのデザインが食屍鬼(グール)っぽかったのはむしろ僕は物語上、"獣性"を強調した方がいいと判断したんだろうと思い、よかったです。
もしくは、長い間血を吸えていなかったので、あんなふうにカッピカピに干からびてしまったという設定なのかも。
「ゾンビっぽい」という意見も多いですが、元々ゾンビの「噛まれた人間もゾンビになる」という設定は、"吸血鬼からの流用"です。
なので、ドラキュラがゾンビっぽいというのは、むしろ当然というか、こっちの方が先なんです。
モンスターパニックとしてはまぁまぁ…という感触。
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