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ドラキュラ/デメテル号最期の航海のRのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2023年アメリカの作品。

監督は「ジェーン・ドゥの解剖」のアンドレ・ウーヴレダル。

あらすじ

1897年、ルーマニアからイギリスのロンドンに向けて商船デメテル号が出航する中、積荷として載せられていた謎の木箱から謎の魔物が現れ、船員たちが1人、また1人と殺されていく。

アマプラにて。

監督のアンドレ・ウーヴレダルの作品はジャンル映画好きの俺の趣味趣向とも合ったこともあり、とりあえず過去作は全部観ていて(と言ってもこれ含めて5作なんだけど)、そうなったらやっぱ最新作も!ということでアマプラで配信していたので観てみました。

お話はあらすじの通り、モンスターパニックなんだけど、これまでも数多くその作品が映像化されたブラム・ストーカー(製作スタジオ、ブラムハウスの語源だったりする?)という作家が1897年に出版した「吸血鬼ドラキュラ」の第7章「デメテル号船長の航海日記」という、所謂怪奇小説を映画化したということでテイスト的にはかなりゴシックホラー。

人もばんばん容赦なく死んでいくし、その犠牲者も…ってところなんだけど、その点に関しては後述。

で、特筆すべきは、やはりメインモンスター、ドラキュラの存在!他の映画だとドラキュラといえば豪奢なスーツに身を包み、紳士然とした他のモンスターに比べるとイケオジ、イケメン化する流れがあったりと最も擬人化させやすい存在であったりすると思うんだけど、今作のドラキュラはモロモンスター!特徴的な牙剥き出しで、目は白内障みたいに真っ白な白目、頭だけでなく全身の体毛が抜け落ちた感じでドラキュライメージの上品さのかけらもない。また、見た目的にも出てきたばっかの頃は上記の見た目に加えて、まだヨボヨボの「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムみたいな感じなんだけど、段々と犠牲者の生き血を啜ることで進化していき、肉体的に逞しくなって、おまけに翼まで生えちゃうんだけど、マッパに体毛なしなのでドラキュラというよりかはその眷属のコウモリのモンスターって感じがしてとにかく凶悪な見た目で最近のドラキュラ像にはない感じで新鮮だった。

ちなみにそんなドラキュラを演じたハビエル・ボテット(スケアリー・アパートメント」)は「IT」シリーズなど、その体型を生かしたモンスター役を主にやっている人でその見た目の恐ろしさは折り紙付き。

ただ、ドラキュラ要素は確かにあって、血を啜るという攻撃手段もそうだけど、吸われた人がドラキュラ化して白目で襲いかかってくるだとか、日光にはやっぱ弱くてドラキュラ自身はそうならないけどドラキュラ化した人が日光に当てられて燃えながら死んじゃうとかドラキュラならではの要素は確かにあった。十字架は効かないけどね。

で、上記で書いたように容赦なく人を襲うんだけど、船員以外も普通に殺していく。例えば、今作、エリオット船長(リアム・カニンガム「ウェイ・ダウン」)の孫のトビー(ウディー・ノーマン「カモン カモン」←つーか、カモンカモンの子だったのか!!)とその愛犬が出てくるんだけど、その愛犬もほぼほぼ序盤で家畜たちと共にズタズタな無残な死体で発見されるし、やはり印象的だったのはトビー。

子どもだからなんだかんだ助かるよな?と不安半分で観てたんだけど、中盤でやっぱ背後から血を吸われちゃって…。でも、描写的にはそれほど残酷な感じでもなく、そのあと途中までは意識不明の重傷のまま生きてるって感じなんだけど、その後残念ながら亡くなってしまって、じゃあ丁寧に葬儀をして海に葬ろうってなり、わりかし神聖な感じで終わり、まぁこの感じならそこまで後味悪くないか…と思ったら、海に落とすその瞬間にやはりトビーもドラキュラ化しちゃってて、よりにもよって家族である船長に襲いかかり、日光で炎に焼かれて黒焦げのまんま海に落とされるという…いや、本当誰も望んでない後味の悪さでぶち込んでくるやんけ…。

ただ、じゃあ他はどうかというと確かに残酷な感じも所々見受けられはするんだけど、シーンとしては僅かに加え、大体暗いシーンなのでそれほど感じなかった。加えて、昼間は襲ってこないので夜になる→襲われるの繰り返しのパターンで個人的にはちょっと退屈だったかな。あと船員たちの個性もあんまりないしなぁ。

ただ、今作回想形式で既にタイトルにもわかるようにデメテル号は沈没して、そのほとんどは死亡ってことがわかってからお話に入るので、ろくなラストじゃないと思ってたら、なんかヒーロー映画みたいなラストで終わったのはちょっと意外で面白かったw

というわけでウーヴレダル監督らしいモンスターへの偏愛に満ちた作品ではあったけど、まぁ監督作の中ではそこまで面白くはない感じでした。
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