真一

ドラキュラ/デメテル号最期の航海の真一のレビュー・感想・評価

2.4
 ドラキュラは、異民族に対する白人の差別意識と恐怖心が生み出した、空想上の魔物と言われます。本作品は、白人の妄想の産物であるこのドラキュラを、現に白人から差別を受ける黒人の主人公が迎え撃つというストーリー。人権問題を絡めたメッセージ性のある作品です。ただホラーシーンが単調。肝心のドラキュラもしょぼすぎます(-_-;)。全体として微妙な仕上がりだと思います。

 舞台は19世紀末の黒海。ロンドン行きの帆船「デメテル号」には、黒人医師クレメンスが乗り込んでいた。乗組員が相次ぎ不可解な死を遂げる中、クレメンスは、肌の色が違うという理由だけで事件への関与を疑われる。

 実はこのクレメンス、ケンブリッジ大医学部卒という大秀才。しかし黒人だという理由でどの病院も雇ってくれず、放浪の末、失意の中でロンドンに帰るところだった。「科学的でも合理的でもない差別感情を人はなぜ抱くのか。真実を解き明かそう」と決意したクレメンス。そこで起きたのが、帆船での数々の怪事件だったー。さっとこんな感じです。

 テーマ設定はいいのですが、内容的には変化のない船内を延々と映して「ドラキュラが出るぞ~、出るぞ~」と煽るばかり。あくびが出ます。エイリアン1のノストロモ号を帆船に置き換え、あのエイリアンをマヌケ顔のドラキュラに入れ換えたという感じでした。

 あんまりお薦めできません。
真一

真一