あき

愛にイナズマのあきのネタバレレビュー・内容・結末

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画監督志望の折村花子は、幼い頃に突然消えた母親を題材に映画を撮ろうとしていた。
しかし、プロデューサーに騙され、企画ごと奪われてしまう。
自分の家族を題材にした映画を、自分が撮らなくて良いのか?
諦め切れない花子は、10年もの間連絡を取っていなかった自分の家族へ会いに行くことに。
説明もなく、ただカメラを向けて当たり散らかす花子、照れや迷いがあり誤魔化そうとする父親、そんな状況を見兼ねて「だからこの家族は嫌なんだ」と失望する二人の兄。
母の行方、父親の過去、そして父親の余命。
本当の事が語られた時、再び家族に愛が芽生える。

出演者全員が演技が上手かったこともあり、登場人物がすごく自然体に映っていた。
自分の中の衝動を信じ、ただただ突き進む花子は、生きづらくもなんとか自分の衝動を貫こうとするが、純粋すぎて利用されてしまうあたりも、こういう人いるよねーって感じだった。

一番良かったのは、家族の描き方だった。
顔を突き合わせれば、世間体も何もなく、言いたいことを言える花子。子どもへの愛は確かにあるのに、照れや誤魔化しのせいで誤解されてしまう父親。何かと親と兄弟の間を取り持とうとする長男。兄や妹に気を遣いつつ、父親とも定期的に連絡を取っていた次男。
家族内の立場が明確に描かれていたのが、より自然な家族に映った。

また、家族で出掛けている間に他の人と接している場面があったことで、「家族の中の自分」と「社会の中の自分」は違うんだという事が明確になっていて良かった。

顔を合わせていなくても、一度顔を合わせれば「家族」という居場所があって、「家族」としての形になっていたのが、個人的には羨ましくもあり、感情を揺さぶられた映画だった。

ただ、映画は長いし、いくつかのストーリーをつなぎ合わせる形の構成となっていて、そこは個人的には好きではなかった。
あき

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