自分に嘘ついて他人に合わせてきた新人監督が一変、業界のしがらみに反発。
真実だ真実だと求める、収集がつかない衝動に惹き込まれた。
そのきっかけを作ったその場しのぎのことしか言わないMEGUMI演じるプロデューサーも、
業界に擦れているだけの助監督の三浦貴大も本当にいけ好かなくて、感情が爆発したのも頷けて気持ちいい。
切羽詰まった監督を演じる松岡茉優が出会った青年・窪田正孝が空気を読めない正直者で、その真っ直ぐさに癒される。
窪田を巻き込んで、
松岡は帰省した先でも情熱は収まらず。
失職した母について知るなかで、
父の佐藤浩市捕まえて｢ダメ！クソ！｣と言い放って面白かった。
家族も集まってきて、
今まで蓋してきた臭いに物にちゃんと向き合う。
その結果一生忘れられない思い出ができて本当によかった。
父親は後先考えない人だったけど、
子供思いで正義の男と知って目が潤んだ。
コロナ禍を過ぎて変化した人々の感情、道徳観も、とてもメッセージとして発信されておられる。
アベノマスクをする窪田ように
コロナの渦中みんなマスク姿で、
物理的に隠すことに慣れたけれど、
感情は隠し過ぎると、どんどん不健康。
だから解放していこうよと。
パンデミックでみんな余裕がなくて、他人を攻撃して心を安全させようとする人もいた。
だけど、正論や一般論を振りかざして、
何言ってもいい、
人のことバカにしていいわけじゃねえんだよと。
常識から外れた人間も、人格まで否定するのは筋違いで話せば長い事情があるかもしれないから“人をよく見ない”といけないなあと思わされた。
“マスク”に隠して演じる大事なんだろうとは思う。
バーのマスターのきょどりと、カトリックがマスクして｢隠せばいいんだよ｣と悪事をなかったことにしようとしているシーンが特に笑えた。
｢あっまたやってる｣
｢みんな役者なんだよ｣
