ゆず塩

愛にイナズマのゆず塩のネタバレレビュー・内容・結末

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【あらすじ】
新人映画監督の折村花子は、新しい映画の準備をしていた。企画は失踪した母親を題材にした『消えた女』と言う映画。しかし、共に仕事をする年上の男性助監督は、花子を馬鹿にしてマウントを取る様な態度である。負けまいとする花子。そんな時、舘正夫と出会い意気投合する。
助監督と花子の仲は良くならない。そして、突然花子は企画から降板させられる。プロデューサーも、花子をあっさり見限って去っていく。全てを失う花子。しかし、自分の企画と夢を諦めず、連絡を絶っていた父親に協力を求めるのだった。そして、それについていく正夫。
父親の元へ行くがうまくいかない。兄と弟も父に呼ばれる。失踪した母親について調べたり、父親の病気について聴いたり、昔を思い出したり。バラバラだった家族が、だんだんと一つになっていくのだった。
そして、1年後。父は病死していた。花子は、まだ映画が完成していない。だが、タイトルを『消えない男』に変更しようと決めた。

【感想】
前半が人の感情を逆撫でするシーンが続いて、見てて辛い。とても不愉快。業界のこと全然よく知らないけど、映画作りってこう言うもんなの? よく分からないマウント取られたり、馬鹿にされたり、無碍にされたり。そう言うのを我慢したり、反発できる人だけが活躍できる世界なのかな。ステレオタイプの嫌な業界って感じで、見てて不愉快。監督は人の気持ち悪い部分を色々撮りたかったのかなぁとは思いつつ、胃もたれしたかな……。花子ももうちっと上手くやれよ、ってイライラするし。キレるなら最初からキレなよ!って思ったり。あと、後半助監督とプロデューサー出てこないしなぁ。1時間ぐらいしてやっと花子の家族が出てきて、残りは全部家族の話で。助監督とPについて、何も仕返しがなくてモヤモヤだけが残った。スカッとする様な映画にしたいわけじゃないってのはわかるんだけども。わかるけど。ぬぬぬ。気持ち悪さが残る映画。

携帯ショップでのやり取りも気持ち悪いし。不毛な言い合いをしてて、見てて不快。僕としちゃ、店員さんに同情するのだが……。

バーがコロナの補助金(?)で儲かった、と言うのも……だから何?って感じで。マスクについてもそうだが、映画の外から国の政策に文句を言いたい感情が透けて見えて気持ち悪い。

劇中で助監督が花子に「花子は人の死生観とか分かってない」みたいなこと言うところがイラッとした。一方で、花子の映画に出る予定だった男性が自殺したところは、「シナリオとして安直では?本当に死ぬ?分かってる人の感情?」って思ってしまって、助監督と自分が重なったのにちょっとショックでした。

人間の気持ち悪いやりとりが気持ち悪すぎて、嫌な気分になったと言う点でとても感情が揺り動かされたと思う。でも、スッキリしたり、気持ちいい感情になるところが少なかった。いいシーンはあるけど、なんか取ってつけた感じがして冷めてしまったのかな。

2時間20分あるけど、全体的にまとまりが弱いのかな。エピソードが切れ切れになってる様な。名言っぽいセリフも単発な感じがしてあまり響かない。あと、困難とか障害物があっても、特に乗り越えることもなく、困難に立ち向かう活動がほとんどない。正夫との恋愛ドラマも無くて。と言うか正夫、ただの良きサポーターって感じでなんか本当によくわからんキャラ。
1500万を色んな出し方してて、金銭感覚の違いや貧富の差を表現してて良いんだけど、それ以上にならないのもなんか勿体無い。

でも、面白いシーンとかはちょくちょくあるので……なんとも言いづらい映画でした。
ゆず塩

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