ノラネコの呑んで観るシネマ

北極百貨店のコンシェルジュさんのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.5
人間が働き、お客様は動物という不思議な百貨店の物語。
念願のコンセルジュ見習いとなった主人公の秋乃は、いろいろやらかしながらも、お客様の様々な願いを叶えるために奮闘してゆく。
おっちょこちょい新人の成長物語はド定番。
絵柄が可愛らしくほっこりした気分になるが、そこで展開する物語は、サービス業の本質を捉えていて面白い。
しかし一体どういう世界観なんだろう?と不思議に思いつつ観ていたら「人間が絶滅させた動物を、せめて虚構の中だけでも楽しませたい」というメタ的なコンセプトが出てきて驚いた。
なるほど、主人公が担当するのは、皆人の手で滅ぼされた絶滅種ばかり。
人間が自戒の念と共に作り上げた物語と思うと、なかなかディープで切ない話だ。
とは言え、映画そのものはエンタメとしてよく出来ていて万人向け。
最後はちょっぴり泣かされた。
そう言えば、百貨店自体が今では絶滅危惧種みたいな物だけどなあ。
子供の頃は、買い物も食事も出来て、屋上に遊園地まである百貨店はワンダーランドに思えていたのだけど。
この映画のモチーフそのものが消えゆくものと考えると、それはそれで切ないな。