立花真由美

アロハ・サマーの立花真由美のレビュー・感想・評価

アロハ・サマー(1988年製作の映画)
4.3
aloha summerという名前の通り、ハワイを舞台とした青春映画。alohaはハワイの人たちにとって、単なる挨拶ではなく「愛しています」などのたくさんの意味が込められています。そんなalohaという単語の色んな意味を感じることができる作品です。

ハワイへ旅行にやってきたアメリカ人5人が現地で様々な人種、国籍の人たちと繰り広げるストーリー。1959年というまだ人種差別、偏見が残る時代にハワイへやってきたアメリカ人のチャックはハワイ現地で日本人のケンゾーに出会い、サーフィンを通して友情を育んでいきます。しかし第二次世界大戦後でまだまだ偏見が残る時代、ケンゾーの親のコニシはアメリカ人に対して強い偏見を持っていました(ちなみにコニシ役はあのケイン・コスギのお父さん、ショー・コスギさんです)。

更に追い打ちをかけるように、チャックが現地で思わず一目惚れした美しい女性、ラニの親も白人に対する偏見を持っていました。このような社会的な差別、偏見によって生まれる理不尽があたかもハワイの大波のようにチャックに押し寄せます。そんな荒波の中でも前を向き続けるチャックの姿を見ると若いエナジーを感じます。そして最後のハッピーエンドを見たとき、alohaに込められた「愛しています」の意味を感じることができました。隠れた名作です。
立花真由美

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