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wakkaの記録のレビュー・感想・評価

wakka(2023年製作の映画)
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「Wakka(ワッカ)」とはアイヌ語で「水」を意味する。セリフのない抽象的な映画を観るのは初めてで衝撃を受けた。美術館で「この絵は何を描いているんだ…?」というような作品を目にしたときの感覚に似ている。

抽象的な作品ではあるが主に登場する物が「水道管」という具体性があり、中島洋さんの独特な表現が面白くて引き込まれた。

水道管は願いや覚悟であり、作品は問いかけや挑戦を繰り返しながらも歩み続ける人生だった。(と、私は感じた。)北の大地で撮影された四季の映像や音はかなり現実味があって怖い、寒い、癒される、美しい、とシーン毎に感じた。

上映後のトークで美術家の川上さんが「水は欠かせない存在であることは勿論、地味に鉄も地球や宇宙、私たちにとって無ければ生きていけないから愛おしい」とおっしゃっていて共感!そして「石1つにも何万人のいう死者の思いが詰め込まれていると思う」と中島さん。様々な改革を経たこの土地で暮らしているけれど震災が起きたら蛇口を捻っても水は出ないし先人たちの歴史と向き合い続けねばと改めて考えた。

"水道管は文明のメタファー"

漢方のように時間をかけて心に記憶されていく不思議な効力のある作品。
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