丁寧な良作。新美南吉の“おぢいさんのランプ”をアニメーション化。
祖父が語る一代記。村で身寄りもなく草履を編んだり雑用を言いつかってやっと口に糊していた孤児の少年が、町でランプを知り、「村を明るくするのだ」と卸として商売を始める。
商売を通じ文盲を恥じた彼は字を習い、多くのことを学び、ランプ屋として身をおこす。やがて妻も娶ることができ、子にも恵まれた。
しかしある日村にも電気を引こうという計画が持ち上がる。ランプの灯りが時代遅れとなり、今や電気の灯りが世に溢れようとしていた。
彼は断固反対するが、寄合で電気の導入が決まってしまう。逆恨みした彼は区長の家に火付けする…
ところが手持ちの火付け石は中々火がつかず「古くせえものはいざという時にまにあわねえ!」と苛つきをぶつける。その言葉は、まさに己の固執するランプにも向けられたものだった。
彼は家に帰ると、商品の全てのランプに火を灯し、木に吊り下げ、泣きながら石を投げランプに別れを告げた。
古いものに固執せず、真に人に必要とされる商いを探そうと、彼は町に出て新しい商売を始める。
アニメとして目新しい感じは無かったけど、よくこの原作を選んだなと思う。いい話。教訓譚のようなまとめにしちゃうとつまらないけど、主人公の人柄が見える作品に仕上がっていて良かったです。