イベリー子豚

ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)のイベリー子豚のレビュー・感想・評価

3.4
うーん……ダメだなぁ。


この監督は【ゴダール】のなんなの??


今年公開の
『モリコーネ』も『タランティーノ』も
「リスペクト」「憧れ」何よりも
「偉大な人物の功績を後世に私が語りつぐ!」
という「愛」で溢れていたけど
本作にはそれが……。


これ観て
「【ゴダール】映画を始めたい!」と思う人、
いないんじゃないかな。



まず
「【ゴダール】の足跡」が「お気持ち程度」で
大多数は「関係者が語る彼のイメージ」。


つまり
「ほぼ話を何度も何度も聴かされる」ワケです。


オマケに
そのインタビューが、絶望的につまらない。


【ゴダール】の輪郭をなぞるだけで
「彼の知られざる内面の奥」、
「映画制作のハウツー」や
「恋愛のスタンス」「家族へのコンプレックス」など
「【ゴダール】の深淵」とは、ほど遠い。


それぞれが
考察や解説をいくら繰り広げても
答え合わせしようがないし
そもそも
「アナタは何されてる方なの?」な
自分が存じ上げない有識者の言葉は
入ってきません。


「それってアナタの感想ですよね?」状態。


結果、
「観る前」は
「人間嫌いで偏屈なムッツリ&センス監督」の
印象が

「デビュー作ラッキーパンチで
天才に祭り上げられてしまった」

「鬼才を期待され応えようと
セルフプロデュースしたが迷走」

「自分に自信がないから
バイタリティと芯のある人間について行きがち」

「才能の限界を技術と努力でカバーしようとした
真面目さ」

「コミュニケーションを映画制作でしか
表現出来ない不器用でこじれた人間愛」

「薄毛は知性」

「【太宰治】+【宮崎駿】を【碇ゲンドウ】で因数分解した」

に、回り道しながら辿り着いただけ。



じゃあ、結論出すまで
こんなに時間かけなくてもイイって話。


ただでさえ
「煙に巻くポエミー」と
「社会派ドキュメンタリー」がベースの
「フランス映画」。

それを
「さらに詩的でパーソナルな見解」
「小難しい歴史的背景」でガチガチに固めたら
退屈と眠気しかやってこない。


もう掲載内容に悩み始めた
「【ディアゴスティニー】の【ゴダール】創刊」
「第9号」ぐらいでやるような演出やん。


許可が出ないのか
資料がない、存命じゃないのかは不明ですが
「モノマネ再現コメント」は絶対に興醒めですし。



やっぱり
「フランス映画」は好きだけど
「フランス映画の監督」のドキュメンタリーは
苦手です。