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ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)のsonozyのレビュー・感想・評価

3.5
JLGの生涯を、本人、家族、出演者、監督、評論家、歴史家…の証言と作品を交えながら4章で分かりやすくまとめられた作品です。

原題『Godard seul le cinéma』についてBard(Google)さんに聞いて見ると、「『ゴダール 映画だけが彼の唯一の伴侶』という意味で、ゴダールの映画に対する情熱と愛情を表現したものです。」とのこと。

革命、破壊、発明、反逆、異端、挑発、ひねくれ、難解、混沌、闘争、内向、孤立、研究、実験・・・JLGを表現するキーワードはたくさんあるなぁと改めて感じましたが、ハゲるほどに(冗談です)映画への愛と情熱を持ち続けていたことは間違いないですね。

作品の変遷とその背景はもちろん、彼のプライベートの知らなかった話も多数。
裕福な家に生まれながら、事故死した母の葬儀にも行かなかったほどの家族との不仲。
長らく封印してきた子供時代。
出演者であるアンナ・カリーナ(1961–1965)、アン・ヴィアゼムスキー(1967–1979)との結婚&破綻にまつわる話…etc

『彼女について私が知っている二、三の事柄』に出演したマリナ・ヴラディが語る、台本がなく俳優たちはイヤホンを付け、JLGが遠隔で話す難解なセリフをそのまま話すという、ロボットのような体験だったという話や、80歳を越えた時に、膨大な映像アーカイブ・機器・本を手放してしまった話など、興味深いエピソードの数々。

JLGが1971年に事故で瀕死の重症となる直前に出会ったというアンヌ=マリー・ミエヴィルが、彼が亡くなるまでのパートナーとなるわけですが、対話相手であり、映像実験や撮影・編集・共同脚本&監督も行ったということで、最後に素敵な女性と出会えて良かったですね。

〈メモ〉
JLGがまだ髪の毛フサフサの19歳の時に主演したジャック・リヴェット監督の1950年の中編『Le Quadrille』。この頃は窃盗癖があったようですが。笑;
https://youtu.be/zzIAwFlTZ2s

アンナ・カリーナのデビュー前の「Monsavon」という石鹸のCMが出てきますが、これもYouTubeにありました。
https://youtu.be/UxoJe5ct3Aw
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