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ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)のKKMXのレビュー・感想・評価

3.0
 う〜ん、イマイチなドキュメンタリー。正直、割と知られたゴダール像を周辺の人たちが語り下ろすタイプの作品で、新鮮味もなければ驚きもない感じ。ゴダールの深いところを突っ込むような雰囲気は無くて、正直退屈でした。

 とはいえ、新しい発見もいくつか。

・ゴダールと実家の関係
 ゴダールは医者の家系で金持ち一家に生まれ、青年期に勘当されている。父親は弁護士にしたかったが、ゴダールは反発したらしいです。映画監督というのはゴダール家にとっては恥ずべき職業のようでした。冒頭で父親が軽くインタビューしているのですが、すごく感じ悪く、なんだこのオヤジと思っていたら、なるほど納得です。しかも、ゴダール家はフランスがドイツに占領されていた時にナチスに協力していたらしい。コラボシオンですな。
 ゴダールの反抗性、怒りの源泉はこの辺なんだな、と納得。しかし、資料が少ないのか、この辺はほぼ掘られずじまい。1番の旨みなのに!

・機材オタク
 1977年にスイスに移住したゴダールは、最新機材を買い漁って地下にスタジオを作ったそうです。ゴダールの本質は詩人・画家で、物語るのではなく、本質的には世界の美しさを切り取る人だと思っています。それ故に、美しさを切り取るための道具にこだわるのはよくわかる。

・アンヌ=マリー・ミエヴィル
 ゴダールのパートナー。僅かに登場。ずっと謎の存在でしたが、いわゆる同志で、本作では「ゴダールにとって初めて対等に話せるパートナー」とのこと。風貌は痩躯でなかなか不気味。パッと見から超クセ者って雰囲気で、モノノケっぽさを感じました。
 また、2人を知る人が「ゴダールやアンヌと友人になることは難しい」と語っており、ゴダールのややこしさを和らげるタイプではなく、同じように他者を遠ざけるタイプの可能性が高そう。このパートナーシップは興味深いが、アンヌは存命で、いかにも一筋縄でいかないタイプだろうから、深掘りは難しいのでしょう。ゴダールの伝記を読めばもう少し正体はわかるかも知れません。
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