若葉竜也のフィルモグラフィーにおける重要作。
従来の若葉竜也っぽさとは一線を画すループものとしても傍流的な映画。伊勢谷友介との共演が相乗的な魅力を放つ、変だけど良い邦画。
タイムループ物として主流の、意図せず巻き込まれてしまう系統ではなく、主人公が自ら選択し復讐のループを繰り返すという斬新な設定。
主人公と犯人が記憶を共有した上でループを繰り返す。被害者と加害者という緊迫した関係性がループを繰り返していく中で滑稽で愛おしい関係性に変わっていき、カッコつけない二人の哀愁が人間のおかしさを浮き彫りにする。
本来必要な心理描写や、設定(ループの決まり事)の説明が意図的に省かれており曖昧なのだけどそれがノイズにはならない。テンポの良さと、クスッと笑えるユーモア、尖った絵作りに心惹かれる。
今作のテーマへの言及、考察の余地はいくらでもあるのだが、純粋にエンターテイメントとして楽しんだ方が良さそうな感じ。