たたみ

ペナルティループのたたみのレビュー・感想・評価

ペナルティループ(2024年製作の映画)
4.0
前作『人数の町』と同じく、不条理なルールに翻弄される人間の話。

ルールの前には、人間性も人権も簡単に捨象されていくこの世界の矛盾。
昨今流行りの時間ループものとゆうジャンルに、この思想が流入され、パリッパリのディストピアSFに仕上がったぜ!
画面設計も音響設計もバリバリにコンセプチュアルで、この奇妙な世界観の説得力がダンチだ!体温の感じない離人症的な世界観が不気味ながら静謐で美しい。
そんな冷たい世界で、わずかに残された温かみのある交流も世界のシステムに蹂躙されていく。そして何よりもショッキングなのは、登場人物の誰1人としてシステムに反旗を翻さない所が、切ない。これって身体感覚レベルでリアルだよなー(特に日本で暮らしてる人間としては)
一点だけ不満点があるとすれば、全てを説明しきらない作風はミステリアスで興味深いけど、物語に寄与しない謎もばら撒かれていてノイズになる箇所があった。

前作から引き続き、ベリークールな作家性が今作でも遺憾なく発揮されており、今後熱烈支持していく所存!
ワンアイデアの強度が高い作家性だから、例えば世にも奇妙な物語の一編やったらハネるんじゃないかなー。期待期待期待!!
たたみ

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