▼SFと見せかけて、深淵な社会派作品?はたまたコメディー!?
藤子・F・不二雄のゾクッとする短編のような手触りの作品!いいよね!こういうの好き!
よくあるループものと見せかけて、描かれているのは実は「被害者遺族は、加害者が死刑になれば満足なのか?」という意外にも骨太なテーマ。
血飛沫描写はしんどいけど、一見の価値あり!
そして命が軽くなればなるほど、軽妙でブラックなコメディになっていくこの感じも◎
▼(ネタバレあり)果たして、どちらが加害者なのか?
ラストカットの血まみれ若葉竜也の「だいじょぶでーす」がなんとも印象的!彼の行き着いた先は、「血だまり」でしかなかったのだ。
若葉竜也の手がどんどん血に染まっていき、ハンドソープを何度も押して手を洗い続け、発狂する場面にも表れているように、被害者遺族のはずの彼は、どんどん加害者のようになっていく。死刑制度への批判のようにも見えて、なんともクリティカルな映画だ。
死刑囚のはずの溝口と、その執行人であるはずの岩森が、同じ殺人者になるだけでなく、ループという同じ業を背負った「似たもの同士」になっていくのも面白いし、二人が会話を重ねていって互いをひとりの人間として理解していく筋書きがなんとも美しい。