磯野マグロ

さよならエリュマントスの磯野マグロのレビュー・感想・評価

さよならエリュマントス(2023年製作の映画)
4.2
【ガス、短小、そしてクズ】119

クズ界のトップランナー、中島歩が言う通り、彼がマネージャーをつとめるチアグループ、エリュマントスのパフォーマンスはかなり微妙である。はっきりいえば「3年やってそれって、なに?」みたいなレベル。まともなレッスンもしてないんだろうから仕方ないとは言え、微妙なもんは微妙。決め技の「ファイティングエリュマントス」にしたって、「あれをやらせてください!」「肉離れしちゃう」みたいに言うが、申し訳ないけどあれを見てなにを思えばいいのか。
というような話は、へたっぴであることに意味があるんだからさておいて、大野大輔の脚本の確かさ。セリフひとつひとつに意味がある。さくさくとピースがはまる感じ。気持ちがいい。とくに丘の上から夜景を見ながらのサラと平井亜門の会話は、リアリティ云々ではなく「映画として、この日本で、この山梨で、若い2人はどんな話をするべきなのか」の完璧な答えで鳥肌立った。
ここまで3年、それから8年。11年戦い続けたエリュマントスの6人はどんな思いで、どこまで行ったんだろう。どんなパフォーマンスをしたのだろう。解散公演見たかったなあ。
オープニングが秀逸。どん!どん!とでてくるキングレコードとミスマガジン。まばらにもほどがある客。そしてクソカメコを追い詰める中島歩。最高でした。
磯野マグロ

磯野マグロ