ネノメタル

さよならエリュマントスのネノメタルのレビュー・感想・評価

さよならエリュマントス(2023年製作の映画)
4.5
まるでタ○ーレコードのようなカラーリングの可愛いらしいアイドルユニットのようなポスタービジュアルを見て「ああ、そういう感じのアイドル青春映画ね、『辻占恋慕』の大野大輔監督にしては新境地にでたな。」とか思ってたらいい意味で意表を突かれた。
互いに憎悪と羨望と嫉妬だらけの解散寸前のチアリーダーユニットとやさぐれたマネージャーらが繰り広げる泥沼の人間関係にハラハラする、という「予想を覆された」という表現は正に本作の為に存在するような作品だった。個人的に、最近映画も音楽もバキバキに尖ってて尚且つセンスがある『Cosmetic DNA』とか初期ハルカトミユキみたいな作品がホントになくて心底困ってたところだったので大いに救われた。
これははっきり言ってバキバキに尖ってて尚且つセンスがある作品です。
これはリピートの価値あり。
この尖り方自体もそうだし某場面が宮﨑監督の『大和(カリフォルニア)』も彷彿としたかな。
あと序盤に出てきたパンチラ目当てのカメラ小僧(瀬尾タクヤ)さん『辻占恋慕』に出てきたあの嫌味な音楽ライターではないか!この方の演技面白いけどめちゃくちゃリアリティあるんだな。どちらの役も「絶対こういう奴いますわ感」が異常である。
と、ここまで書いてかなり気を衒ったかのようなアバンギャルド作品だと思うかもしれないが、本作出演者である平井亜門氏も出てた『アルプススタンドのはしの方』のようなエンターテイメント寄りのカタルシスもしっかりとあったりする。てか平井さん金髪だったもので今回ワルいチンピラ役?とか思ってたら本作中最も善人かってくらいめちゃくちゃアルプス寄りのキャラクターでこれも違う意味で意表を突かれた。
話をテーマに戻すと、これはタイトル通りのっけからチアユニットの解散のキッカケから始まったような物語だけど鑑賞後私の中で新たに「新生エリュマントス」が結成されるような不思議な感覚もあったりする。もっとエリュマントス自体のパフォーマンスを観たかったもんな、何かスピンオフでも作ってくれんじゃろか。
そういえばスピンオフに関連して思い出したが内容もさる事ながらシアターセブンでの舞台挨拶での麻倉瑞季、藤本沙羅両氏のボケとツッコミのハッキリした対称的なキャラクターによるトークがいちいち面白くて何度も爆笑してしまったのだ。正に息の合うコンビってか映画本編よりよっぽど息があってんじゃんw
この二人における【エリュマントス・スピンオフ】作品とかあったらめちゃくちゃ面白いのではなかろうかとか思ったりして。
なんだかんだで私もエリュマントス推しになったようです(笑)
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