佐藤克巳

乱れるの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

乱れる(1964年製作の映画)
5.0
松山善三と加山雄三といえば「名もなく貧しく美しく」で、高峰秀子が母、加山が息子、そして突然、加山は交通事故死。あの映画は、あのラストでなければと落胆した思いと重なるが、本作では得心がいった。また成瀬巳喜男監督では、山奥の温泉宿は「浮雲」を想起させるが、あの作品では森雅之と高峰の運命的出会いは貫かれた。では何故悲劇は起こったのかと問えば、加山は本気で高峰を愛したが、高峰は母性愛で加山を愛した。あの睦まじい二人の車中、もし途中下車しなければ或いは?結末が違ったかも知れない。
佐藤克巳

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