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⾼野⾖腐店の春のぶみのレビュー・感想・評価

⾼野⾖腐店の春(2023年製作の映画)
3.0
豆腐は、人生の処方箋。

三原光尋監督、脚本、藤竜也主演によるドラマ。
豆腐店を営む父娘の姿を描く。
主人公となる「高野豆腐店」の店主・高野辰雄を藤、辰雄の娘・春を麻生久美子、辰雄の悪友を徳井優、山田雅人、日向丈、菅原大吉が演じているほか、中村久美、竹内都子、桂やまと、黒河内りく、小林且弥、赤間麻里子、宮坂ひろし等が登場。
物語は、広島県尾道市で職人気質で不器用な辰雄と、出戻りの一人娘である春が営む豆腐店を舞台とし、辰雄や春の日常の風景が綴られていくのだが、まず特筆すべきは、辰雄を演じた藤の何とも言えない円熟味溢れる演技で、まさに職人気質である豆腐屋店主がハマり役であり、私の父親とそんなに年齢が違わないこともあって、ついつい応援したくなるもの。
そんな辰雄には病院で偶然出会った女性が、春には新たな交際相手がと、それぞれ新しい出会いがある展開となり、観ている側をやきもきさせることとなる。
また、豆腐店を舞台としており、早朝からの仕込みや、にがりの投入、水中で豆腐を切る等々、豆腐作りの手順が静かな映像として切り取られているため、お仕事ムービーとして観るべきポイントも少なくない。
同監督の前作『オレンジ・ランプ』では、認知症に対する啓発ムービー的な側面が見られたが、本作品では、尾道の美しい街並みを舞台として繰り広げられる家族や親友との人情物語を堪能できるとともに、『高野豆腐店』を高野豆腐(こうやどうふ)の専門店だと思っていたのが恥ずかしくなったのと、主演の藤が、若き頃は男性ホルモンムンムンで、晩年は味のある演技を見せていたアメリカの名優バート・レイノルズと重なってきた一作。

レイコーちょうだい。
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