Punisher田中

駒田蒸留所へようこそのPunisher田中のレビュー・感想・評価

駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)
4.3
とある編集社で働く、入社半年目の光太郎は上司に振られた案件で「駒田蒸留所」を再興させた若き社長・駒田琉生と共に各蒸留所をインタビューして回る記事を担当することになるのだった...
仕事に対しては気が入らず、かと言ってやりたいことに対しても不明瞭でウィスキーに対しても一切興味が無かった光太郎だったが...

これまでアニメ会社や田舎町の観光協会、温泉旅館などコアだったりありきたりだったりするお仕事作品を作り上げてきたPAworksが今回制作したのが"ウィスキーの蒸留所"を舞台にした作品。
めっっっっちゃくちゃコアやんけ!
ウィスキーは好きだけど何も知らないし、カスクとかワードは知ってても意味がわからん!と云った人や、ウィスキーに対する造詣が全く深くない人でも大丈夫!
十分楽しめる設計が今作には施されている。
決して"萌"や"アニメらしさ"が無く、仕事らし〜いジメッとしたリアリティがまとわりついた正真正銘のお仕事作品だが、鑑賞後は不思議と僕らの仕事に対するエールだったり、仕事をする全ての人間に向けたリスペクトが感じられるものだった。

安定した脚本と蒸留所を通して描いていく一つの家族ドラマと入社半年の編集者を描く人間ドラマが秀逸で、展開が予測出来ていながらも泣けてしまうインパクトと爽快感を見事に与えてくれる。
ウィスキーが好きだが、その1瓶までに至る成り立ちを一切知らなかった自分を恥じた部分もただあったが、それすらも広く受け入れてくれる様な懐の深さとわかりやすさ。
実際、今日ではジャパニーズウィスキーの高過ぎる需要によって生まれた高騰の流れによって、日本人ですら名ブランドは手に入りづらい現状に界隈自体が怒りを渦巻いていると感じることがある。
そんな流れに対して、ウィスキー製造の難しさや生産者さん達の限りのない努力を今作で目の当たりにすると、製造してくれることに対してただ有り難みを感じた。
配送サービス等の拡充によって製品に対する有り難みが日々欠けている気がする、この現代の日々に改めて""有り難さ""を思い出させてくれる作品だった。
個人的にはかなり良かった🥃