予想以上に良かった。
P.A.WORKSお得意の、これまでのお仕事アニメが持つ溌剌とした印象とは違い、より堅い「仕事」としての渋みが感じられた。
またこれまでより年代が上なのもあって、キャラデザもふっくらとして頭身高めで、幼さが抑えられていた。対して背景は全体としてフレッシュな色味で、蒸留所の設備や、その他の施設の様子はかなり明度の映えた印象だった。
内田真礼のキャラの入っていないシンプルな女性役というのが久しぶりな気がして、素材の良い和食を頂いたような幸福感があった。
あとは井上喜久子は安定のお母さんだったし、早見沙織はめちゃくちゃ歌上手かった。早く主題歌配信してほしい。
高橋の仕事に対する向き合い方という導入から、駒田家の家族へと移っていく進行と感情のブレンドが絶妙で、別段とんでもない感動が押し寄せるとかではないけど、一つ一つ確かめるように丁寧に積み上げれられたシナリオが素直に泣けた。
今の時代、仕事が人生のすべて、ということもないんだろうけれど、間違いなく自分の生きる「時間」を捧げるものではあって、そこに悲喜こもごも生じないわけがなくて。
良くも悪くも、好きも嫌いも、テイスティングするように舌の肥やしにしていかねばならないのだろうと思う。
作中で主人公の兄が口にした台詞は、これから「働く人」として生きていく私にとって一生抱え続けるだろう言葉として強く刻まれた。
