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佇むモンスターのkomonoのネタバレレビュー・内容・結末

佇むモンスター(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

一人でモンスター映画を製作する男・賢治。ある日樹梨杏と言う9歳の女の子と知り合う。彼女は学校にも通っておらず、どうやら母親に虐待を受けているようだった。どうにかして彼女を助けてたいと思う賢治だが、そう簡単にはいかず……

低予算がわかりやすいくらいの映像ではあるが、色々と考えさせられる内容だった。
賢治は子供の頃親に叩かれたことがあると言っていたが、それ以外どういった扱いを受けていたのか細かいところまでは分からない。ただ9歳の女の子に向かって意味のない家族だくだらない愛や夢だとか、あんな強い言葉を使うあたり、相当な扱いを受けてきたのだろう。
しかし今現在は温厚で人当たりもよくとても優しい人のように見える。転職から10日ほどで普通に働いて職場からも評価されているようだし、大変そうな仕事でも特に不満もない様子。
ただ終わり際、海辺であのモンスターのマスクを取った時、どこか悲しそうな顔をしていた。彼が笑顔でも真顔でもなく悲しい顔を見せたのはあの瞬間だけ。吐き出さない憎しみや恨み、虚無感などを内に秘めて外装を固めているだけで、実は佇むモンスターと言うのは彼のことなのかもしれない。どこで爆発してもおかしくないだろう。そう考えると彼女のために当たりとして食べ物をくれる商店の人も優しい人ではあるが本当に助けになっているかと言われるとなってはいない。干渉して逮捕された賢治より、傍から見ているだけのモンスターと言えてしまうのかもしれない。

最初樹梨杏ちゃんが商店に行く時、反射でスタッフが映っており激突のようなミスかと思ったが、後半もはやミスと言うレベルでなく追いかけてくるシーンがある。と言うことは意図しているはず。
とすると何故あんな映し方をしたのか? 人々が見てはいるが干渉をしてこない世の中のことやこれがあくまでエンターテイメントやコンテンツであることを示している皮肉のようなものなのか、気になる。
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