芽

うまれるの芽のネタバレレビュー・内容・結末

うまれる(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

エンドロールが流れる頃には涙で目が滲み、そばにいた子供をいつの間にかぎゅっと抱き締めていた。子供は号泣している私を見て、何も言わずそっと涙を拭いてくれた。

改めて子供との関わり方を考え直させられる映画であった。

「指示役」「実行犯」「傍観者」
イジメは行われている時、被害者にとって「救われている」と実感しなければ例え何もしていないとしても、見て見ぬふりをした、それだけでイジメの加害者の一員である。
子供は大人が思っている以上に卑怯であるが、その分単純で純粋な生き物である。
子供はすぐさま自分の犯した罪を認めるが、その親達はそうはいかない。
「自分の子供は悪い事なんて何もしない」と思い込んでいるからだ。

「自分の子は何もしていない」と罪の押し付け合い。きっと現実世界においてもこんな感じなのであろう。見ているだけで胸糞悪い。

「イジメは確認出来なかった」と認識する学校の先生も同罪であると私は思う。
誰か一人でもあの子の心の救いになる人がいれば。
母親も子供にちゃんと向き合えていなかった。
あの子と同じく冷たい地面に落ちた時、やっと向き合えるなんて残酷以外の何物でもない。

出産の“うまれる”と復讐時の“うまれる”。
うまれる感情は違えど、両方とも痛みや苦しみ、そして孤独を感じている。
その2つがリンクした映像を見て、胸が苦しくなった。

あの母親がした復讐。もし私があの母親の立場になったとしてもきっとこうしていただろう。
自分の子供が産まれた時からもう誰しもが“覚悟”するのでは無いだろうか。
暗くて冷たい場所にひとりぼっちにさせないように。

2024.8
芽