矢吹健を称える会

四月になれば彼女はの矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
1.7
 雰囲気映画のニュー・スタンダードというべき作品で、死ぬほど眠い。「ウユニ湖きれいだなー」とかで楽しんでいられたのは最初の数分で、あとは愛がどうの永遠がどうのと、上滑りする台詞の応酬にうんざりしてくる。そもそも最終的な結論も、槇原敬之の名曲"くもりガラスの夏"の4分間で描かれる程度のことでしかなく、その答えを出すために懊悩するぐらいならまだしも、長澤まさみが仕事をほっぽり出し、森七菜が死に、あげく佐藤健は長澤と浜辺で抱き合ってオイオイ泣き出す。大袈裟にも程があるだろ。ここに到り、ベンチがアホやからドラマにならへんの思いは最高潮に達した。佐藤健はまあ仕方ないにしても、長澤・森の両名が馬鹿にしか見えないのは辛い。
 また、映画としてのブサイクさもかなりのもので、視点がころころ移るわ、回想のなかで回想するわ、ショットによって画質が違うわ、佐藤健のシャツのあたりに変なノイズが出てるわ……(朝日を見るシーンの長回しは嫌いじゃないが)。動物園で長澤まさみへの思いに気づいた佐藤健が、長澤を走って追うという回想シーンの途中に、なぜか「現在」のシーンを挿入するなど理解不能な描写もある。
 竹野内豊のキャラもあんまりだと思った。太賀の歌う"喝采"に+1点。