Breminger

四月になれば彼女はのBremingerのネタバレレビュー・内容・結末

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
1.9

このレビューはネタバレを含みます

虚無と言わざるを得ないレベルの薄さでした。愛するとはなんぞや的なテーマだと思うんですが、性格の差異や距離感とかはもちろんあると思うんですが、いくらなんでも融通が効かない登場人物が多すぎないか?と疑問に思うばかりでした。
主題から話を逸らしまくってたのも印象が悪く、遠回し遠回しにして話を進めなかったのはなんでなんだろうと上映中ずっと首を傾げていました。

まず主人公の現彼女の弥生と元カノの春が相当に面倒くさいです。
そういう人がいるんだなーとは思いますが、幸せになるのが嫌だとかうんだかんだ、愛を終わらせないためにはうんだかんだ、そういう悩みがあるのはまだしも、それが原因で仕事を放り投げて失踪して元カノの元へ向かうという情緒乱れまくりの行動には呆れっぱなしでした。
そもそも一回違う人との結婚前に逃げ出してる前科持ちなのに、また逃亡して被害者ヅラなんかしちゃって、多分この先の人生でも似たようなことをして信頼とか失っていくんだろうなーと他人事ですが思ってしまいました。
春は俗にいう病み系ストーカーで、どうやって元彼の住所を見つけ出したのかってのも引っかかりましたし、そこに写真と手紙を送りまくってるところに恐怖を覚えましたし、こやつも逃げ出しの前科持ちだし、海外を飛び回って最後の最後にぶっ倒れて助けてもらうというはっきりいうと迷惑だなぁと思ってしまいました。こういう展開で病気になるのもまぁありがちですが、最後はあっさり逝ったのもあって、なんか生死の扱い方のバランスが悪いなと思ってしまいました。

主人公もまぁ難ありで、無神経さと無自覚を持ち合わせており、何に対しても消極的な面があまり受け入れられず、そもそも患者に手を出してエッチしちゃってる時点で…って感じでした。
ゲイの友人への言葉も悪気ないみたいで嫌でしたが、この人は責められすぎだなというのもあって半々くらいの感情が残りました。ただエスカレーター上がったところで泣き出したのは邪魔だ!と思ってイラッとしました。現実でもエスカレーターの前で立ち止まる輩が嫌いなので笑

要所要所に出てくる関連人物も、出てきただけな印象が強く、春の父親なんかまさにそれで、娘を旅に行かせたくないのかなんだかうやむやなままで、そのフレーズを言わせたいんだな→はいこのポジションってのばかりで印象に残らなかったです。

ラストシーンもベッタベタの再会で、こんなん絶対また同じようなこと繰り返すじゃん…と苦笑いしっぱなしでした。

サトケンと長澤さんという邦画のトップランナーを走る2人の半裸シーンとか刺激強すぎるだろと思っていましたが、どうにも差し込まれるシーンが突然だったり、やたら多く差し込まれるので、もうノイズになってしまっていました。

役者陣は全体的に良かったと思います。
サトケンと長澤さんは安定安心で、森七菜さんは立ち振る舞いがとても素敵でした。
ビッグラブな中島歩さんがこれまたチャーミングな役で出ていて、大学生は無理あるだろうと思って苦笑いして観ていましたが、やはりこの方の独特な愛嬌はたまらないです。
河合由実さんも出番は少ないながら、鋭い目つきのインパクトは凄かったです。

山田監督が普段MVを撮られているということもあって、制作チーム含めた映像の美麗さは素晴らしかったと思います。
ウユニ塩湖をはじめ海外の透き通った景色に圧倒され、日本でも朝日だったり海だったりがこれでもかってくらい映っていて息を呑みましたし、東京の街並みも普段観る作品とは違う映像を楽しむことができました。
カメラワークも結構動き回るんですが、全体的に観やすくて目を回すことも無かったですし、撮影が上手なチームなんだなぁと思いました。

藤井風さんの主題歌は素晴らしく、映画よりも濃い歌詞なんじゃないかくらい頭に残る歌でした。
エンドロールに入るタイミングで曲が流れてタイトルドーンの流れは原作の川村元気さんがプロデューサーだった「君の名は。」と一緒やったなぁとフフッとなってしまいました。

こういう邦画が今年も出てしまったなーという残念感がありました。珍しくもっと長ければ面白くなったのではと思える作品でした。
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