べべ

四月になれば彼女はのべべのレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
3.0
欲張りすぎたの一言。

監督たるもの映画はストーリーのどこをつまんでくるかが腕の見せ所の一つである。

例えば主人公が死ぬまでの1日を切り取るのか一生を切り取るのか。
その中には恋人とのひと時、家族との団欒もあれば、自販機に入りっぱなしの小銭、首輪のついた捨て猫という些細なものもある。
今回はやまなか屋で言えば欲張りセットである。1つ1つの描写が中途半端に終わるために中々感情移入することが出来ないしキャラクターがたたない。

また監督が海外に圧倒されてしまい、観光地に行った時のナニコレ!!スゴッ!がそのまま映像になった結果が森七菜のシーンである。(私も観光地に行った場合例外ではない) もっとストーリーに対する解像度を上げて効果的に用いるべきであった。

また中途半端に終わってしまったのが作りである。キリンを比喩的、もしくは暗示的に用いたかったのかもしれないが、動物の美しさは皮膚の躍動感と食事(狩り)の瞬間である。今回は草食動物であるから狩る瞬間はないが、何とも動物園の記念写真みたいな全体を入れようとする画角に残念な気持ちになってしまった。

そして感情の表現はヨリだけでなくヒキであることを改めて感じた。主人公の喪失感や孤独はヨリの表情では表現しきれない。
ここはやはりヒキであるのだ。これは誰も知らない(2004)を参考にすると良い。

偉そうに語ってるいるが自分もあくまで修験道の途中である。監督のすべきことを再確認出来た。
べべ

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