柊

世界のはしっこ、ちいさな教室の柊のレビュー・感想・評価

3.6
日本にいれば基本識字率は100%だが,世界はそうではない。ブルキナファソの50人の子どもの話す言語は5種類あると言う。そんな中で公用語のフランス語を教えていく果てしなさ。

またロシアの果て、トナカイの遊牧民の子どもに一定期間でエヴェンキ族の伝統の言葉をテントの中で教える先生。

そして1番課題の多そうなバングラデシュの船の教室。こちらの何が問題か?と問われれば,ほっておけば児童婚の餌食になってしまいそうな危機が間近に迫っていて、それを阻止しようとする大人の意識が甚だ低いと言う点である。先生は一生懸命、児童婚が犯罪であるという事を子ども達に教えてはいるが、習慣と貧困の前に法律はあって無いに等しそうだ。

こんなハンディばかりの学校でも先生達の使命感は強く、学ぶ事により未来はより良いものへと自分で選択できるという希望に溢れている。その熱意がとにかく素晴らしい。そして撮影当初と終盤では明らかに子ども達の瞳が変わっている。
学んだからといって即人生薔薇色なるわけでは無いし、例え識字率が高い国であっても選択肢は無限か?と問われればそんな事もない。日本がいい例だと思うが、どんなに環境が整っていてもそれだけではどうにもならない現実も片方にはある。それでもまずは学ぶ場の保障が無ければ何も始まらない。文字を覚え、数字を覚え、そして哲学を学ぶ。哲学とは私は生きる意義を学ぶ事だと思う。そして生きる意義が全うできる社会であらねばならない。そんな事を考えさせられた。
柊