ねむろう

世界のはしっこ、ちいさな教室のねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_160


世界の"はしっこ"はきっと、
学びの"中心地"になる。


【簡単なあらすじ】
識字率アップが国家の使命であるブルキナファソの僻地の村で働く新人教師で、2人の子の母親でもあるサンドリーヌ。バングラデシュ北部の農村地帯のボートスクールで、子どもや女性の権利を守るべく戦うフェミニストのタスリマ。雪深いシベリアに暮らす遊牧民で、伝統の消滅を危惧するスベトラーナ。さまざまな困難に直面しながらも、子どもたちに広い世界を知ってほしいという情熱を胸に教壇に立つ3人の先生の姿を映し出す。



【ここがいいね!】
ブルキナファソ、バングラデシュ、ロシア・シベリア、それぞれの中でも「辺境の地」とされる地域で、学びを子供たちに伝えていく3人の女性が中心人物となり、教育というものが子どもたちに何をもたらすのか、教育というものが文化、そのコミュニティの中の文化にどのようなことをもたらすのか、ということを描いた作品でした。
もちろん、教育というものはあった方が良いですし、社会や世界の中で生きるためにはそのような教育が必要であると思います。しかし、作品が中盤になってくると、特にロシアのシベリア、バングラデシュの中では、教育を受けること、そして上の学校へ行くこと自体が、その土地に根付いた文化やその子が暮らす家族を脅かすものになってくるという障壁にぶち当たります。
そうなると、教育というものは本当に子どもたちや文化・社会にとって良いものであるのか、ということを投げかけてくるような作品にも見えて、非常にハッとさせられました。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
作品のところどころで、「作られている」ような画角だったり、やり取りがあったように思います。
この辺りは実際のところどうかわかりませんが、演出されたものになってくると、特にこのようなドキュメンタリーや教育というものの崇高さを損ねてしまいがちですので、実際のところどうだったのかなと気になります。



【ざっくり感想】
子どもたちそして社会にとって、教育とは何かということを投げかけた作品だと想います。
その一方で、「それを私がやります」と担ってきたこの3人の女性は、社会からそれ相応の見返りやサポートを受けられているのかどうか、というところも非常に気になります。
結局、日本でも言われている「やりがい搾取」が、世界の中で、教育という分野の中で押し付けられていないかどうかということは、やはり考えないといけないですし、その辺りを描いてくれる作品であったらもっと良かったなと思います。
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