"夢の為に努力してきたけれど、この国じゃ全て奪われる…"
その日…暴漢に襲われ全てを失った…バレリーナへの夢…そして声…
魂を失い、死んだも同然の抜け殻となったフーリアは、リハビリ施設で出会い、それぞれが厳しい現実に心に大きな傷を負ってしまった女性たちにダンスを教える事で再び生きることの情熱を取り戻していく…
それまでの自分を壊され、生きる意味を失ってしまった女性の喪失と再生を軸に、北アフリカ・アルジェリアが抱える問題をも提起するかのような中々重い話ではあります。
当初のイメージとは違い、一女性の喪失と再生を描いているだけでなく、そうとう深い意味合いを持つ作品かと思います。
フーリアやリハビリ施設の女性たちが壊れた理由の一つに"テロ"が普通に出てきてしまう怖さ…
警察は腐敗し、テロの主犯が平気で釈放されてしまう社会…
フーリアの親友ソニアが命懸けで密出国しようとする件等、アルジェリアが抱える闇の深さを垣間見たような気がします。
主人公フーリアには、次から次へと不幸が降りかかり、喪失からの悲しみに押し潰されながらも、全身全霊を掛けたダンスで自らの魂を表現し、不死鳥の様に蘇る様の何と力強く、何と美しいことか…