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裸足になってのsnatchのレビュー・感想・評価

裸足になって(2022年製作の映画)
4.3
イスラム教国家での製作ながら、いろいろ見せていた
挑んでいた

女だけでなら、笑ってお喋りして踊り、出かけて料理したり食べたり
本当に楽しそう!

以下、中身に触れています




ヒジャブも必ず付けなくても大丈夫そうだしと思いながら観ていたが…
主人公の母親の時代は女性が運転する事さえ許されず
テロで子ども失った女性、乱暴された女性、子どもを産めないからと離縁された女性、自閉症の女性、ろう者の女性
影に隠れていた女性たちをふんだんに見せたこの映画は貴重だと思う

今までは、テロ攻撃された被害者とテロリストに焦点をあてた映画を観ることが多かったので、この女性たちを知る瞬間はショックだった

テロを犯した犯罪者に対して、武装解除を進める理由で、恩赦や減刑をしたという政権には驚いた
街を自由に歩いている犯罪者から被害を受け、大怪我をしても警察は動かない
娘と母親だけの家庭は、イスラム教社会の片隅で懸命に生きていくしかない
さらに二人はダンサーで、同性の警察官も色眼鏡で見る
ボートでスペインに渡れば自由が手に入ると夢見る大親友を、浜辺でただただ見送ることしかできないあの心境も初めて見た
今まで観た映画は、いつ命を落としてもおかしくない危険な渡航渡路を行く人たちの映像だったから

つらい事も多く、もう作りものの映画的なエンディングで終わらせて欲しいと途中で思ったりしたが

思いがけず主人公のバレエに打ち込む姿から始まり、壊された心身はコンテンポラリーダンスへと向かっていく
がんじがらめの世界では、身体を動かす踊るという行為は自分を解放し、何よりも自由だ
ひとりひとりの女性たちもそう感じたのだろう

現実はつらい事ばかりなのに、豊穣な音楽と息を吸い込みたくなるような海風と空気 美しい映像が合わさる。途中でドキュメンタリー形式のが合っているのではないかとさえ思ったが、これでいいんだ!
彼女たちを讃え敬い鼓舞しているのだと思う。エールを送っている

彼女達は強かった
横に並び手を繋ぐ女性たちは本当に強かった
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