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グランツーリスモのSQURのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
1.0
レースシーンが目茶苦茶いい。スピード感も迫力も。作中で主人公が語る「それ以外のものがなくなる瞬間」の一端を、観ているこちらも味わえた気がする。

一方で、レースシーン以外のお話は空回りしている。ゲームとリアル、競技シーンと商業主義、価値観の違う父子の衝突、師弟で受け継がれる意志と悲願、競技の意義と危険性、そういった個人や社会に対するテーマが「とりあえず史実なんで入れました」とばかりに触れるだけ触れられる。そこで何が問題視されているのか、主人公は何を乗り越えなければいけないのかは、示されない。史実をテーマにする必要性が「出来事を広く伝えたい」以外にないように思う。社会的な要素をこそぎ落として"ル・マンレースの狂気"みたいな映画にしてしまったほうがレースシーンの良さを存分に発揮できたのではないか。
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