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グランツーリスモのよのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
3.9
『フォードvsフェラーリ』をむかし観て、それ以来クルマ映画が好きである。クルマ愛がビンビンに伝わってくるからだ。

なにかを好きだという姿勢が私はやたらと好きで、この映画でも以下の台詞ですこし泣いた。
“This is what I love and am good at.”

山内一典さんもクルマが好きで好きで堪らなくて、グランツーリスモというシミュレータを作ったのだろうか。それがヤンという少年を夢中にさせて、また彼の夢を叶えたということだろうか。
ものを作っていると、人が作ったものを誰かが好きになるなんて奇跡だ、という気がしてくる。富士山が好き、素粒子が好き、戦国時代が好き、というなら分かるが、数十年しか生きていない人間が作ったものを、おなじように数十年ちゃんと生きてきた人が愛してくれるというのは、なんだか理屈が通らないような気がする。
でも、可能なのだ。
好きにさせるどころか、人生を支配することだってできるのだ。
それをグランツーリスモは教えてくれる。

本作を観た人のうちいくらかは、きっと映画やクルマやシミュレータにぞっこん惚れこんでしまう。それで人生が変わってしまう。
好きにさせるということは、なんと罪深く、ゾクゾクする所業であろうか。
よ