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グランツーリスモのNowLoadingのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.1
 本日の一本。

 僕が子供の頃に触れたゲーム、「グランツーリスモ3 A-SPEC」。当時は最も現実世界に近いゲームと信じていた。あれから20年。最初にグランツーリスモの実写映画をやると発表されたときは、あんなカーライフシュミレーターにゲームでストーリーなんてできるもんなのか?と不安をよぎったがそれは杞憂に終わった。

 正直に言えば、これは好みの問題だが「フォードvs.フェラーリ」よりもこっちの方が好きだと思う。優るとも劣らない出来栄えなのであとはどっちがお好みかというところだと思う。

 実話をベースにしつつも登場人物を絞って必要最低限のキャラクターを出すことにより非常に見やすくなっており、主人公ヤンと相棒のコーチジャック(イイ役のデビッド・ハーバーなんて初めて観たわ)だけ分かれば良しとなっているから初めてのレース映画としても断然おすすめできる。

 これまでの映画ではこのカラーリングのクルマが主人公のクルマですよ。と提示されてもレース中はどれやねんとなる場合が多かったが、この映画は事あるごとにPAUSEを入れていマーデンボローは何位ですよとご丁寧に説明し、オーバーテイクするときもポジションが7位から6位に上がったよ!と教えてくれる。こんな初心者にやさしいレース映画今まであったか?って思うほどには親切設計。鬱陶しいともとれるがこの映画のスタイルがそう選択したんだろう。

 「第9地区」のニール・ブロムカンプ監督にしては癖がなくあっさり目でソニーの手綱に従って職業監督に徹しているように感じられるがこれは正解。だから取っつきやすくレースの魅力を柔らかく観客に届けられる。それでいてレースカーのメカメカしさを押し出して、忙しなく上下するエンジンクランク、摩擦熱で赤くなるブレーキシューなどカッコよくクルマを見せている。悪魔のZに出てくるキャッチコピー、「その車は狂しく、身を捩るように走るという」という言葉を映像化したらこうなんだなと納得できるのでクルマが好きな人も嫌悪しないようなコダワリがみられる。

 なんにせよこんなに初心者にオススメできるレース映画なんてそうそうない。映画館の大迫力のスクリーンとスピーカーでサーキットを暴れ回るレーサーになってみよう。
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