ツクヨミ

グランツーリスモのツクヨミのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.7
全てのムダを削ぎ落としスピーディーさを極めたストーリー展開、激アツ極まりない王道さで突き抜けるこれぞサクセスレース映画決定版。
日本産のゲーム"グランツーリスモ"の名人を実際にレーサーにしてみたプロジェクトな映画化らしい本作、原作ゲームも知らないし全然興味は無かったんだが友人の激推しで連れて行かされてみた。
まずオープニング、ゲーム"グランツーリスモ"の製作過程というかプローモーションからのタイトルバックがテレビ宣伝みたい。そこからゲームをプレイしていた青年が夢見た世界へ飛び込んでいくストーリーをとてつもないスピードで見ていくのがまあ気持ちいい。
まあ本作、スピーディーさで要点を突き詰めた会話とレーシング修行と試合を還元濃縮した脚本がよく出来てる。あれよあれよというまにいつの間にかレース修行シークエンスに移行している素速さなんだが、意味不明ではなくついていけない作りにはなっておらずあくまでも関節を残したわかりやすさが見やすい機能になっているのが誉めたい点か。
あとはやはりレース映画としての上がり具合がやはり素晴らしい、個人的にレースものでは"フォードvsフェラーリ"がなかなかに激アツですきなんだが今作も全然負けていないというかわかりやすい激アツさは今作が優っている点だろう。ドローン撮影のような空中からぐーっとレース場を舐めるカメラワークから車体のエンジンやレーサー.切り替わりまくる順位をカットバックしまくる編集も小気味良い。
そしてなんといってもリアリズムを保ちながら衝撃的な展開を上手く活用したキャラの心理描写よ、主人公の家庭環境や夢見る心境も良いんだがやはりコーチのデヴィッド・ハーバーと苦渋を共有するシークエンスからの逆境を乗り越えていく過程の素晴らしさ。わりかし重めなんだがあくまでもくよくよしないというか、PTSD的な効果が現れそれすら逆境として起爆剤にしてしまう脚本力。そして自らの利点を原点回帰してなりふり構わず突き進むラストまで最高に上がるル・マンレースに感涙してしまう。マジの2023年ダークホースだな今作。
あとやっぱりコーチ役のデヴィッド・ハーバーのアツすぎるイケおじ感がサイコーにキマってた。ラストにかけてのセリフには涙してしまうし、王道で全てをアツさで乗り切っていくジャンプ漫画の名脇役的なキャラが大好きすぎた。マジで主人公を食ってしまうぐらい良い配役だったんじゃないか。
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