叡福寺清子

グランツーリスモの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.4
予告の1stルックでは全く食指が動かなかったのですが,ニール・ブロムガンプ監督作と知って一気に視聴意欲が高まった三遊亭呼延灼です.そして,ブロムカンプ監督に白羽の矢を立てたエラい人に深く感謝と同時に,監督自身のキャリアの復活に歓喜の声を上げた呼延灼でございました.
改めて考えてみますと第9地区やチャッピーにはメカ愛が迸っておりました.デル・トロ監督作品から迸る異形生物愛と同等の愛情が.
レーシングマシンというただただ速く走る事を目的としたメカに対する愛情,エンジン内部やタイヤ,ブレーキの作動描写,自宅やネカフェのプレイ環境に部品が集積しマシンを構築,あるいはその逆.「こーゆーのがいい,こーゆーのでいい」の展覧会か,ここは!!
新兵を教育し兵隊に向いていない若者を冷徹に落伍させるも最期は熱い友情で結ばれる兵隊物語のように,全方位からパチもん扱いされるシムレーサー達をしごき,選抜し,そして最期には誰よりも自分が育てたレーサーを信頼する.そしてレーサーもまた,その信頼に応える.熱いぜ!熱すぎるぜ!!まるで島本和彦か藤田和日郎の漫画かよ!!
漫画といえば,物語もまるで漫画でした.シムレーサーが挫折しながらも1年目でル・マンの表彰台に立つ.普通にこんな脚本を提出したら,リアリティがない!って偉い人に怒られる事案でしょうけど,事実なんだからしょうがない.おまけに父親との和解も付いてくるんだから,隙がなさすぎてちょっとヤバいです.『デモニック』の頼んなさが嘘のようでした.とりあえず,本作のよってブロムカンプ監督のキャリアは復活したんで,一安心の呼延灼でございます.次回作品は『They found us』.もっとも企画段階なので,実現するかどうかは不詳でございますが.

あと,ゲーム内での経験が実際のレースでも通用するほどの精度だったグランツーリスモは,もっと評価されていいと思いますよ.