レオン

グランツーリスモのレオンのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.2
見逃し高評価話題作 (★平均4.2 UNEXTポイント課金) これほど脚本がよく出来ているとは! レース以外にも多彩なシーンが存在するが一分の隙なく、135分を集中して魅せた♪ 久々に劇場視聴を逃したのを後悔させた作品。 
フォロアーの皆様、今年もよろしくお願いします。

まず序盤こんなイキイキした オーランド・ブルームは初めて見た♪ 過去に見た14作ではシリアス史劇や「ロード・オブ・・」シリーズで"役"を演じている彼しか見た事なかったが、今作では"素"で演じているのでは?と感じるくらい多様な表情が自然に見え、初めて彼への好感度が上がる♪

そして金色のランボルギーニがズームアップして聞こえた曲はブラック・サバスの名曲「パラノイド」! 自然と足がリズムを取っていた♪  この曲は後半レースでも使われ、他に「ウォー・ピッグス」という曲とトータル3度も挿入され、どれだけサバスが好きなんだ♪

過去作で、とんでもサンタを演じた「デヴィッド・ハーバー」もいい味で頑固さ情けも表現して、本作をただのレース物に終わらせていない。
★実はこの鬼教官役は実在しない人物らしく、この作品の為に登場させた役らしい。

"based on a true story" の文字に全て事実だと思っている方がいるかもしれないが、あくまで"基本にしている"なので、当然脚色されている。 
(公開時に実話か否かが問題になったらしいが、自分的にはこの表現のさらに厳密な表現が "This is ture story" (これは真実です)があるので、based on・・は多少の脚色は許されるべきと判断する。

が、この教官の出現で物語がより、ドラマティックかつ感動的になっていて、これは脚本家の腕を褒めるべき♪
今作脚本家(二人)の過去作をチェックすると、「アメリカン・スナイパー」「ドリームプラン」等力作が! 二人ともまだ過去2作しかないのに、当たりがスゴイ♪ 今後に注目!

主人公がPSゲーム「グランツーリスモ」を、「ゲームじゃない、レーシング・シュミレーターだ。」と言うシーンがあるが、この台詞はゲーム開発者にとってはこれほどの賛辞はないだろうと思う♪
後に、レース実車の運転経験がわずかなのに、ブレーキの不調を訴えるシーンで、この台詞がいかにリアルかを表現している。

レースシーンでの車パーツ等のカットインも、"ブレーキパッド"や"動くピストン"等、多少車好きなら分かる範囲で、何が写っているか分からぬ様な早いカット挿入がなく、オーバーワークになっていないのも好感が持て、大人の演出。

主人公がレースを離れ彼女とのデートシーン、友人の為にとウォークマン購入や、本格店での寿司を食する時も、「Uoom Amazing !」、当然そうなるでしょ♪と見てる者の期待どおりの描写で納得させる等、とにかく魅せ方がうまい。

父親とはそれまで葛藤シーンがほとんどだったが、控え室に来て、「おまえを支えてあげれなかった・・。」と涙を流すシーンにベタだが、ジャイモンの熱演でこっちも目が潤む。

そして、栄光の ル・マン へ。
このレースシーンは計測すると20分ぐらいあったが、視聴中は10分ぐらいにしか感じなかった。 
迫力シーンは当然だが、クラッシュで過去トラウマに戦意喪失したヤンに、教官があのメロー曲を無線で流す!
この描写は実際の出来事なのか判断出来ないが、もし脚本家の創作ならば、「技あり・一本!」だ♪

序盤に車をエンジン音で親に気づかれずに、手動で道路まで押してから、乗り込むなど、細かい芸も見せてくれる等、とにかく全てのシーンに何か引き込む物を作っている。
今作で冗長に感じるシーンは全くといっていいほどなかった♪

私は映画を一番に評価する点は、時間を忘れさせてくれるシーンがどれぐらい続いているか。
「RRR」のように3時間続きっぱなし!の作品もあれば、名作と誉れ高い作品でも、半分以上に時間の経過を感じる作品もある。
その点、本作は◎   オススメ♪

PS
曲とアーチストに関して
black Sabaath は Led Zeppelin ・Deep Purple と並ぶHaed Rock 元祖御三家。(2組より格はちょっと落ちるが) サバスをヘビーメタルの元祖と思っている方は、間違いとまで言わないが、鋲打ち皮ジャン等のファッションと共に、ヘビーメタルをメジャーにした元祖は Judas Priest(ジューダス・プリースト)だ。
そのボーカルのロブ・ハルフォードはメタル・ゴッドと呼ばれ、72歳の現在も世界各国でライブして金きり声で未だシャウトしている!

ケニー・G は80年代にインスト(インストゥルメンタル=ボーカルなし曲)としては異例の大ヒットを飛ばしたサックス奏者。 ROCK好きの私でも、挿入曲「ソングバード」が入っているアルバム「デュオトーンズ」は持っているくらい♪
この頃からメローという表現がやたら多くなる♪


レース(ル・マン24時間レース)について 

この栄光のレースについて、自分も詳しく知らなかったのだが、実は大きく分けて、3種の性能の違う車種が、全て一緒に走る、混合レース。
大雑把に言うと、プロ1・プロ2・それ以外、という3つのグループが一緒にレースしている。
だから劇中では3位入賞だが、実際の全体着順は9着。 

どういう事?と思うが、シムレーサー達が出場してるのは、LMP2というグループで20チームが出場してその中の3着。
その上にLMP1という9台のグループがいて、6台は彼らより早く着順しているので総合の実際順では9着。 

F1の様に一つの規制で同等に近い車種しか出場出来ないレースもあれば、レース経費の合理化で、何種類かの車種が一緒に走って、そのグループ毎で順位を争う、混合レースもあるという事。 混合レースにする事で、出場車も増え、下位グループ車も大観衆の前でレースが出来、主催者も1度の経費で多くの観衆を呼ぶ事が出来る為。

尚、劇中は3人ともシムレーサーのチームだが、2013年に実際に3位した年は、ヤンを含む2人のシムレーサーともう1人は通常ドライバーのチームだったようだ。

そして実際には、ヤンはプロデビュー後2年経過してからのル・マン出場だった。 事故もキャリアまもなく、でななく中盤ぐらいの出来事。
その後の2016年にSUPER GTというFIA公認の国際レースで30車中、優勝している。
まあ事実を忠実に描くより、エンタメとしてよりドラマティックな脚本が、功を奏した形になっている。
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