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グランツーリスモのSPNminacoのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
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外へ出て突っ走れ!ヴァーチャルから生身へ、夢から現実へ、ゲーマーからプロレーサーへと映画は最短距離で無駄がなく、グイングインに飛ばして止まらない。家族、恋、ライバル、特訓、師匠…の定番コースは安定の設計(各方面のプロモーションも忘れない)で、ゴールは予め見えてる。それでも、若さと情熱のスピードで迷いなく進む。
レースに危険とスリルは付きものだが、物語は減速しない。ちょっとしたピンチはあっても次々とステージをクリアしてしまう。なので、逆にいつ急カーブが出てきてクラッシュするかと違う意味でハラハラするスリルだった。
もちろん、挫折は訪れる。そこも主人公ヤンと伝説の元レーサー&コーチ&メカニックのジャックを結びつける手堅い設計だ。そして物語はようやく一旦停止して、また走り出す。ゲーマーならではのレースシーンの見せ方もユニークだが、それより細かくコーナーを曲がったりブレーキかけたり緩急(ケニーGとエンヤ 〜ブラックサバス!)をつけながら、映画そのものがレース感覚を体感させる作りであることが面白い。
漫画の主人公みたいなヤンを、アーチー・マデクウェが真っ直ぐな視線で感情豊かに演じて清々しかった。ジャックとの関係もセンチメンタルにならず、さりげない大人の懐深さや無線で語りかけるデヴィッド・ハーバーの落ち着いた声がぴったりですごく良い。父ジャイモン・フンスーもいい演技だったなあ。
ヤンの親兄弟がフットボール選手のアスリート主義ってことで、インドア息子との違いをわかりやすく際立たせてある。ウェールズ、カーディフ・シティFCってのも絶妙。やがてヤンもれっきとしたアスリートになりつつも、やはりヴァーチャル経験がモノを言うのが嬉しいところ。
しかし日本車、プレステ、ソニー、ウォークマンと、かつて日本が一目置かれてた時代の、ノスタルジックなファンタジーみたいにも感じたけど…え、実話だったのか!そういや自転車ロードレースにもZwift出身選手がいたような。
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