YUKI

ママボーイのYUKIのレビュー・感想・評価

ママボーイ(2022年製作の映画)
4.0
【ちょっと内気な純情ボーイを描かせたら台湾映画の右に出る者はいないのでは?】

台湾からの機内で見た映画。
「1秒先の彼女」で台湾映画熱が高まっていたのでジャストタイミング。

たった90分の中で、登場人物全員に愛着が持てて、きちんと喜怒哀楽の感情を揺さぶられ、画作りや演出の芸術性もあって、観終わった後心が少しだけ温かくなる、そんな映画です。素晴らしい。

主人公の小洪(シャオホン)は熱帯魚ショップに勤める、内気な青年。ママが過保護なため自分の意思表示もなかなかできず、これまでお付き合いした女性も無し。セッティングしてもらったデートでも、相手の気を削いでしまい先に帰られる始末。
そんな彼が、いわゆる売春宿に連れて行かれ、その出口でママさんと話しているうちに…という話。

この小洪役の男性がうまいんですよね…日本で言うと中川大志や渡辺大知のような顔をしているんですが、ボンクラでぼーっとしてる最初の姿から、どんどん目に生気が宿っていく、その人としての変化をうまいこと演じられている。
そして、ママさんの楽楽(ルル、LELE)役が日本でもお馴染みビビアン・スー(徐若瑄)。ビビアンも声が低いし、スレたというか、ちょっと人生に疲れた女性を演じるのがうまい。

本も良いし、各所で用いられるダンスや音楽(ママは合唱、小洪と楽楽はダンス)、魚の極彩色と気づけばずっと着ているショップの制服(金魚と同じオレンジ!)、楽楽の息子と小洪との対比、出会いと別れ、各役者の演技。全体的にハイレベルだったので4点です。

ストーリー:3.8
芸術性:3.5
演技・俳優:3.7
演出:3.9
感情の揺さぶり:3.6
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