"ジャンヌ・デュ・バリー伯爵夫人!"
高らかにその名前が呼ばれ、その姿を一目見ようと集まった貴族達を尻目に、"最愛王"ルイ15世の前に立ち止まる…
貧しく卑しい生まれ、娼婦同然の生活であったジャンヌ…だがその美貌と類い稀な知性によりルイ15世の公妾にまで駆け上がったのだ…
だが、労働者階級出身者が王の愛人となるのはタブー…ジャンヌを面白くないと思う貴族達もいた…ジャンヌはタブーをモノともせず、次々とルールを変え、新たなる息吹を宮殿に吹かせ、人気を得ていく…しかし、新たな王妃となるべく定めであるマリー・アントワネットが王太子妃としてヴェルサイユ宮殿に嫁いで来てから、ジャンヌは微妙な立場に立たされる事に…
それはまるで、王宮の生活を覗き見ているかのように、一見すると吹き出してしまうルイ15世のルーティン…非常に興味深く鑑賞させて貰いました。
ルイ15世のいぢワル娘達は、まるでシンデレラのようで面白い…
あの騒動後に選んだ作品であるだけに、全編フランス語でルイ15世を演じ切ったジョニー・デップは、流石の貫禄…
時々見せるちゃめっ気たっぷりの笑顔は、ルイ15世ってこんなだったかもと思わせる説得力が半端ない。
一方で、監督と脚本も兼ねたマイウェンは…これは賛否両論あると思いますが…確かに、ヒラリー・スワンクをもっとギスギスした感じで、誰もが羨む美貌というのは…ちと違う気がするので…初登場のシーンでは…えっこれ?となったのは事実です。
そう、"ゴッドファーザーPart3"でマイケルの娘として登場した、ソフィア・コッポラを見た時の印象と一緒…"コレじゃない"感が一瞬頭を過りましたが、格段にソフィア・コッポラより演技は上でしたし、一人の女性の"成り上がり"を見せる作品ですし、物語が進んで行くにつれ、すっかりマイウェンの魅力に引き込まれていきましたので、ベストな配役だったのでは?
マイウェンの演出と構成も堅実さ溢れ、見応えのある作品に仕上げるあたりは中々の才能の持ち主かと。
印象深いのは、マリー・アントワネットを演じたポーリン・ボールマン…あどけなさを残しつつ、初々しく美しきマリーの演技は、本作の魅力の一つです。
歴史は、この後残酷な展開を見せていくだけにラストは切ないですね…ジャンヌ・デュ・バリー伯爵夫人は、ギロチンを前に泣き叫び、元恋人の死刑執行人に命乞いをしたのだそう…