旅するランナー

ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人の旅するランナーのレビュー・感想・評価

4.1
【恋におちたルイ15世】

フランス国王ルイ15世の愛人関係に、それほど興味はありません。
でも、大河ドラマで徳川家康や藤原道長の正側室関係を興味深く見ているんですから、そういうあたりへの興味は世の東西を問わないんでしょう。
それにしても、ジョニー・デップ演じる国王も、マイウェン演じる愛人ジャンヌ・デュ・バリーも、とてもチャーミング。
フレンドリーさと、エレガンス・ディグニティを兼ね備えています。

国王の寵愛を独り占めすると、源氏物語の頃から妬み・嫉み・虐めに合うのは世の常。
ジャンヌも、出自の低さ、宮廷マナーの無視などを取りざたされて、周囲から大ブーイングを受けます。
それでも、めげずに自らを信じて愛の道を突き進む潔さが素晴らしい。
監督・脚本・主演をやりきったマイウェンのマイウェイに拍手ですね。

ヴェルサイユ宮殿の豪華さ、シャネルによるドレス・ジュエリーの煌びやかさも相俟って、とても眼福です。
さらに、スティーヴン・ウォーベックによる音楽も高尚です。
この方、「恋におちたシェイクスピア」で第71回アカデミー作曲賞を受賞しています。
すでに70歳くらいですけど、いい仕事されています。

佳き俳優と、佳きスタッフが集まって、一本筋の通った格調高い佳作を作り上げています。